福祉について

CMTは平成27年より指定難病となりました。しかし、CMTの重症度によって認定されるかどうかが決まります。症状が軽ければ、認定はされないため、病院の受診費用は、通常会社員であれば3割負担で、それ以上の補助はありません。風邪で受診した時と同じです。症状が重く、指定難病に認定されれば、医療費の補助がありますが、病院での支払いは一部必要となる場合が多いです。

身体障害者手帳と障害者自立支援制度

ある基準以上に症状が進んでしまい、手足が不自由になってくると、身体障害者手帳を作成することができます。上肢不自由、下肢不自由の項目でそれぞれ1-7級の状態が設定されていますが、手帳を発行されるのは6級相当の状態になってからです。左右両足に7級程度の状態でも合計で6級と判定されることがあります。まずは6級に相当するという、担当の医師の診断が必要です。医師の書いた申請書類は、都道府県で更に審査されることになります。場合によっては申請が認められず、医師の診断よりも軽い級で手帳を発行されることがあります。通常の怪我や病気の場合、怪我や病気になってから半年経たないと手帳の申請は出来ませんが、通常ゆっくりと症状が現れるCMTの場合は6級の状態に至る間までには数年経っていることが殆どと思われます。

手帳を発行されれば、条件によって鉄道やバス、飛行機の運賃割引や、NHKの受信料や携帯電話の基本使用料割引が受けられ、所得税や自動車税などの控除も受けられる場合があります。手帳の級や自治体によっても利用できるサービスが異なることがあります。

また障害者自立支援法に基づいて、通所・訪問サービス、日中の活動に関するサービスと居住支援のサービスを受けることができます。主に市町村の障害者福祉担当の部署に相談し、申請をして下さい。市町村からのアセスメント調査に従って、重いほうから「区分」6から1、更に状態が良くて支援制度に該当しない「非該当」のいずれかに認定されます。これらの「区分」は、障害者手帳の級とは別に判定されます。最も状態が軽度の「区分1」では居宅介護サービスのみ利用することができ、「区分」3、4、6と重度になってくるとそれぞれ「行動支援」、「重度訪問介護」、「重度障害者等包括支援」など利用できるサービスが増えていきます。

介護保険制度

介護保険のサービスは65歳以上になれば利用できます。介護保険はかかりつけ医の意見書と、市町村からの訪問調査の結果を合わせて、介護認定審査会で重いほうから「要介護」5から1、さらに軽いと「要支援」2・1、もっと状態が良くて、介護が必要でないと判定されると「自立」と認定されます。「要介護」、あるいは「要支援」状態と認定されれば、介護保険サービスを利用することができます。介護保険でも通所サービス、訪問サービスなどを利用できますが、障害者自立支援制度と同様に程度が重度なほど、利用できるサービスが多くなります。介護保険と障害者支援制度のサービスが重なる場合は両方を利用することが出来ず、介護保険を適用する形でサービスを受けることになります。

装具や杖、車椅子の貸与、購入

手や足の装具の支給は健康保険と障害者自立支援制度のどちらかを利用して行われます。一般に健康保険での装具の支給は治療目的とされ、訓練用装具として扱われます。一方、障害者制度での支給は厚生目的、つまり日常生活に役立てる装具として扱われます。実際は装具の使用状況まで確認されることは滅多にありませんので、どちらの制度を利用するのかは主治医の先生や、主治医から紹介されるリハビリテーション医との相談となります。

杖や車椅子に関しては、障害者自立支援制度で一部費用の給付が受けて購入することが出来て、65歳以上であれば原則的に介護保険制度で借りることになります。

<監修:京都府立医科大学脳神経内科能登祐一>